ある離婚談と猫の親権

妻の親戚が夫の年収が低いことに難癖をつけ、八年間同棲した相手と結婚してから僅か一年程度で破局を迎えることに…

猫

知り合いが経験した話なのですが、彼は八年間同棲した相手と結婚してから僅か一年程度で破局を迎えてしまいました。それは彼の奥さんの親戚が、彼の年収が低いことに難癖をつけ、それに奥さんも賛同した事により起きました。
あるとき彼が仕事を終えて自宅に戻ると、家の中はもぬけの殻で、預金は固より家財道具などもあらかた持ち出され、後には奥さんの名前が記入された離婚届だけが残されていたそうです。 彼は呆然としながらも奥さんと連絡を取り、何故こんな事をしたのかを問いただし、関係修復を試みたのだそうです。 ですが奥さんはけんもほろろで、離婚に応じろの一点張りでした。とりつく島もないとはこのことで、訳がわからないまま彼は窮地に立たされたのです。

銀行預金や家財道具を持ち出した妻からさらに慰謝料請求、夫の親戚は烈火のごとく激怒

騒動の経緯を聞いた彼の親類知人たちは、勝手に銀行預金や家財道具を持ち出した奥さんを責め、裁判に持ち込むことを進めました。彼も日がたつにつれ奥さんへの愛情が冷めたのかその気になり、弁護士に相談に行きました。
そこに狙いをすませたかのように、奥さんの方から慰謝料の請求が届きました。具体的な金額を記せば300万円。田舎でかつかつの暮らしをしている彼に支払える額ではありません。何より彼の僅かな財産とでも言うべきものは、奥さんが持ち逃げした形であり、彼は奥さんが出て行ったその日から、経済的な打撃を受け、食費や家賃の捻出にさえ苦労する身の上になっていたのですから。
理不尽なこの仕打ちに、当人は魂を抜かれた人形のようになる一方で、彼の周りの人間は烈火の如く怒りました。当然です。浮気や暴力行為という負い目があるのならばともかく、彼はある日突然に配偶者に裏切られ、ぼろぞうきんのように捨てられたのですから。

落ち度のない夫の弁護士からは妻への賠償請求をすべきと勧められたが、憔悴した夫は裁判せず、結局離婚は成立し猫の親権だけ勝ち得た

さてそれからが彼が相談に行った弁護士さんの出番でした。彼に落ち度がないのは誰もが認めていましたから、この慰謝料請求を突っぱね、奥さんの方が問題行動を起こしたことを証明し、むしろ賠償請求をすべきだとアドバイスしたのです。
ですが、一連の騒動のうちに、彼は心身ともに疲れ切り、とても裁判で白黒をつけようという元気をなくしていました。「もうあいつが持ち出したものはあいつに全部やる。これ以上あいつに関わるのは、もううんざりだ」 彼はそう弁護士さんに漏らしたそうです。
そして結局、正式に離婚が成立し、彼は奥さんと縁を切りました。幸い二人には子供がいませんでしたので、親権問題云々は発生しませんでした。二人で飼っていた猫は彼の手許に残されたそうなので、猫に親権(この場合は飼育権とでも言うのでしょうか)があるとすれば、彼はそれだけは勝ち得たのです。
あれからだいぶ日がたち、彼は立ち直りの兆しを見せていますが、結婚はこりごりだ。もう一度するにしても、今度は金に汚くない女を選びたいと口にしています。私も全く同感なのですが、皆さんのところにも似たような話はあるでしょうか。